◆物語や台詞回し、演出に表現、全てが個性に溢れている『シルバー事件』
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『killer7』や『NO MORE HEROES』、『ロリポップチェーンソー』など、個性的な作品を生み出し続けているゲームクリエイター・須田剛一氏。直近では、『LET IT DIE』(2017年)や『Travis Strikes Again: No More Heroes』(2019年)などの活躍でも知られています。
そんな須田氏が取り組んだ作品のひとつが、20年前に登場した『シルバー事件』です。国家の計画で生み出された都市「カントウ24区」で起きる謎の連続猟奇殺人事件について、「凶悪犯罪課」の刑事たちが追いかける「トランスミッター」編と、ジャーナリストの視線で語られる「プラシーボ」編の両面で描きます。
作中で展開するシナリオはもちろんのこと、演出やグラフィックの方向、台詞回しなど、いずれも須田氏の持ち味がたっぷりと出ており、ADV作品でも個性的なセンスが遺憾なく発揮されています。
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その一方で、説明不足と思える点や、快適とは言いにくいゲームシステムなど、誰でも楽しみやすい作品とは言い難い面があります。そのため評価が大きく分かれやすく、万人にはお勧めできる作品とは残念ながら言えません。しかし同時に、本作を高く評価する声があるのもまた事実。相性によって、心に深く刺さる作品でもあります。
ちなみに今遊ぶならば、続編となる『シルバー事件25区』もセットになったをリメイク作『シルバー2425』がPS4向けにリリースされているので、そちらがお勧めです。
推理の閃きがゲーム性と結びつくADVの完結編が登場